抜歯

右下の親知らずにできた虫歯を放置しすぎた。 その歯は半分以上歯茎に埋もれた状態だったので行きつけの歯医者では対応できず、病院を紹介され手術することになってしまったのだった。

遡ること2ヶ月ほど前、行きつけの歯医者歯医者からの紹介状を持って病院に行ったのものの、 その日に手術するものだとばかり思ってた自分はいささか拍子抜けした。”手術”というたいそうな響きにビビりつつ、そしてその日はやってきたのだった。

浜松医療センターは台地から少し降りた場所に建った、市内ではかなり規模の大きい病院だ。眺望が開けて建物全体が現れるといつも圧倒される。 周囲に高い建物も無く、青空を背景にそそり立つ姿にウルトラマンのダダが潜伏していた研究所を思い出してしまう。

9:30に手術受付に行ってそこから20分ほど待つ。緊張をスマホで紛らわせつつ過ごす。 10時手前くらいに僕の受付番号302番が呼ばれる。 担当のお姉さんに連れられて患者用のロッカーへ。上着を脱いで手術着を羽織る、下はそのまま。髪を隠す頭巾を被って 電子機器や貴金属を外し、手を消毒して準備完了。 すぐに手術室へ。

大きな自動ドアが開くと絵に描いたような “手術室” 。 既に執刀医や看護師の方が3名ほど待機していて「こんにちは〜」と挨拶される。 中央には手術台。シンプルに横に寝る感じの台なのか。歯医者で使う椅子のようなものを想像していたのだけど、違った。これは手術なのだ。 靴を脱ぎ、手術台に横になる。こうなってしまってはもうどうしようもない。

ここから先は全てシステマティックだった。 二の腕と指先に心電図と血中酸素濃度をモニタリングする機器を取り付ける。映画やドラマでみた「ピッ、ピッ…」という音が鳴り出す。 執刀医から名前、手術内容、所要時間を確認される。 口の部分だけ開いたカバーを顔にかけられ、ライトが点く。看護師の方がなにやら確認事項を読み上げ、全ての準備が整った。 20分ほどの(たぶん)簡単な手術だ。何もかもが滞りなく動いている。

消毒液を含んだガーゼで口の周りと口内を消毒。 その後は麻酔だ。「ちょっとチクっとしますよ〜」と執刀医。「あ、大丈夫です..」と気弱に返す僕。 こちらの動揺を察したのか「歯医者さんでやったことありますよね、あれと同じですよー」と看護師さん。 確かに歯医者でやるのと同じだった。最初チクっときて痛いと感じる間もなくその感覚も消えていく。 手術が始まる。

思ったより力技だ。なんだかよくわからないのもののゴリゴリとやられる。 奥歯を延々と押したり。感覚は残っているので何かが当っている感触はある。それが痛みに届く手前で消える。 血や唾液の混ざったものが喉の手前に溜まる。 視界が塞がれているので寝ているのか起きているのか、夢うつつのような感覚だった。 抜いた箇所を縫合してガーゼを噛まされて終わり。 あっという間だった。 ライトが消え、顔のカバーを外される。いつの間にか頭に被った頭巾も取れていた。 「抜いた歯見ます?持ち帰ることもできますけど」というので、見せてもらった。 思ったより大きい。僕の不摂生でど真ん中に大きく穴が開いてしまったのだけど、それでもなかなか立派な歯だった。

軽く挨拶してから来たときと逆の手順。着替えて終わり。 手術後の注意事項が書かれた紙をもらって手術エリアを後にした。

受付に行って会計を済ませる。¥6,110。1~2万くらいはするのかと思ったけどそういうものなのか。 処方された薬をもらって病院を後にしたのだった。

白十字 FC ガーゼ 10m [一般医療機器]

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  • 発売日: 2004/10/04
  • メディア: ヘルスケア&ケア用品